一般幹部候補生が出世する方法(元自衛官が事例を解説!)
2023/08/06
一般幹部候補生試験合格者は、防衛大学校卒業者と同様に幹部候補生学校に入校し「幹部候補生たる曹長」として幹部自衛官の基礎となる生活をスタートします。
防大と一般大を卒業して一般幹部候補生になる自衛官はA幹部、部内出身から一般幹部候補生になる自衛官はB幹部といわれそれぞれ別の昇任管理がなされます。
ここでは、防大と一般大を卒業して一般幹部候補生になる陸上自衛官(A幹部)に焦点を絞って出世する方法について…おこがましくも…解説させて頂きますよ!
防大と一般大を卒業して一般幹部候補生になる陸上自衛官(A幹部)は、防大卒が200〜250名、一般大卒が150〜200名といったところですから合計400名程度が毎年輩出されているわけですね。
その中で上位から5%、すなわち序列1番〜20番ぐらいまでの人が将官(陸将、陸将補)で定年(勇退)を迎えます。″出世する″とは…いろいろな捉え方があると思われますが、階級的にこの辺りまで上り詰める…こととしてイメージしていただけたらよいと思います。
ちなみに陸上自衛官A幹部の定年(勇退)時の階級とその割合は、将官→5% 、1佐→30%、2佐→65%程度と言われています。
自らを例にとれば、2選抜後期(1選抜組の1年半後)1佐に昇任し13年奉職後、陸将補に特別昇任し同日付で定年退官しました。その内1佐(二)を5ポスト9年半勤めましたので、概ね上位15%程度序列50〜60番辺りで管理されていたのではないかと思われますよ。
…ん、なんだ? 貴様は出世していないじゃないか!
…確かにそうですよね…まあそういうことなんですけれども、幹部自衛官の基礎をスタートする一般幹部候補生の皆さんは、私よりもうちょっと頑張れば自衛官としての出世を体現する事が出来るわけですよ!…(笑)
一般幹部候補生が出世する方法はズバリ4点です…是非実践してみては如何でしょうか。
まずは幹部自衛官を職業選択する意義・目的を明確にすること!
特にこれから陸自の一般幹部候補生をめざしてみたい…将来、幹部自衛官として出世したいと思っている皆さんは、まずは幹部自衛官を職業として選択する意義・目的をしっかり整理し明確にしておくことが重要です。
防大と一般大を卒業して一般幹部候補生になる陸上自衛官(A幹部)は、防大卒も一般大卒も全く同じ昇任管理がなされるというのはご存知でしょうか?…これは間違いありませんよ。
〈最近5か年〉防衛大学校(2020年版) 2015年~2019年実施試験収録 (自衛官採用試験問題解答集) [ 防衛協力会 ]
にもかかわらずですよ…
出身比率が概ね防大卒5:一般大卒3というのを考慮に入れたとしても…
定年時上位5%の将官まで出世する割合は、圧倒的に防大卒が多いんです。
…これはどうしてでしょうか?
防大卒生は、入学当初の若い時期に幹部自衛官になるという宿命的な職業選択が終了していることに加え、4年間の防大生活を通じて安全保障や国家防衛への意識が涵養され幹部自衛官として如何にこれに関わるかという高い意識をもって職業選択の意義・目的を早期から明確にしているからではないでしょうか。
さらに、一般幹部候補生生活に類似した防大生活を4年間も送ってきた防大卒生は基礎体力が高い上に要領を得ているものですから一般幹部候補生課程の成績が結果としてどうしても良くなるんですね。
そうなってくると、どうしても多くの一般大卒の一般幹部候補生は、スタート地点であるにも関わらずなんとなく出世競争からフェードアウトするといいますか、俺はいいからといった感じで…幹部自衛官を職業として選択する意義・目的を〝安定的な生活を送るため″とのみ考えてしまう傾向が強くなってしまうからなのではないでしょうか…。
もちろん、〝安定的な生活を送るため″という意義・目的は否定しませんし立派なものであると思いますが、やはりこのレベルの意識のみでは出世はおぼつきませんよね。
私は防大出身のA幹部でしたが、典型的な国防少年ではありませんでしたので、防大入校当初から将来幹部自衛官としてこうあるべしなんて具体的な目標を持っていたわけではありませんでした…やはりこの辺が出世できなかった原因かなと…(笑)
それこそ防大は一般の大学と同列に選択していましたし、手当をいただきながら大学の勉強をできるなんて…なんて素晴らしいんだ!…家の家計も安泰だし…なんて真剣に思ってましたから…実際に入校中に実家が新しくなったんですけどね…(笑)
防大卒生の場合は、卒業と同時に陸、海、空の自衛官「幹部候補生たる曹長」になり、もちろん試験なしに幹部候補生学校に入校します。私の場合は、幹部自衛官を意識したのは具体的にこの時点でした。
この当時は、幹部自衛官になるために一般幹部候補生試験を突破して幹部候補生学校に入校する一般大卒生ってなんて国防意識の高い人達なんだろう…なんて素晴らしい人達なんだろう…だからこそ、この人達には負けたくないなという漠然とした意識のみあったような気がします。…やはりこんな程度でしたからいまいち出世できなかったのかなと…(笑)
…そんな具合ですから、まずは、より高い意識を持って幹部自衛官を職業選択する意義・目的を今一度整理して明確に保持することが出世するための第1歩です!…目標ないところに成果は出ませんからね。
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指揮幕僚課程(CGS)あるいは技術高級課程(TAC)への合格は出世への登竜門と心得るべし!
・A幹部は任官後4年半で一斉に1等陸尉へ…一般幹部候補生課程で成績が良くなくても将来CGS、TACで挽回可能なので諦めないこと
幹部候補生学校を卒業した幹部候補生(A幹部)は、全国の各部隊(いわゆる原隊)へ赴任し1年後に幹部に任官(3等陸尉に昇任)、各職種学校で初級幹部課程(BOC)に入校し初級の職種運用を学び、幹部任官して2年半後には2等陸尉へ、4年半後に1等陸尉まで一斉昇任します。
一般幹部候補生課程は、初級幹部としての基礎をしっかりと修得するために欠かせない極めて重要な教育ですし、A幹部の同期が久留米に一同に会して切磋琢磨する貴重かつ〝二度とくるめ〜″と恐れられる厳格な教育ですから、兎に角これは全力でチャレンジする!…20代前半の気力、体力がみなぎっている時期でもありますから…悔いの残らないように頑張ることが大切です。
結果として1番〜400番まで序列はついてしまいます。幹部候補生学校の成績は後々までついて回りますが、これのみで幹部自衛官人生の全てが決まるわけではありません。…仮に成績が良くなくても将来CGSやTACに合格すれば十分挽回できるのが陸上自衛隊ですから…出世をあきらめずにモチベーションを維持しましょう!…ちなみに私の場合は幹部候補生学校では65%…中の下の成績でしたが、定年時には15%あたり…出世まであともう少しでした…(笑)
・指揮幕僚課程(CGS)、技術高級課程(TAC)の1次試験は計画的に1000時間勉強して確実にこれを突破しよう!
CGSは作戦基本部隊の指揮運用、統率、行政管理などの教育を履修し上級指揮官・幕僚としての識能・資質を修得します。TACは、技術研究開発分野の上級指揮官、幕僚を育成する課程教育です。
両課程学生は幹部上級課程(AOC)を修了もしくは同等の能力を有すると認められた40歳未満の3佐~2尉の志願者から試験によって選抜されます。試験は1次(筆記)、2次(面接・身体検査・体力測定)に分けて実施されます。
受験回数は4回までに制限されており、併願受験は認められていませんので、限られた4回までに合格しキャリアアップできなければ出世は非常に難しくなります。
選抜試験合格者は、CGSが80名、TACが20名程度です。ザックリと申し上げれば、仮に一般幹部候補生課程で成績が良くなくても、出世への登竜門(最低条件)をクリアしたこの100名は概ね上位25%以内(概ね1佐(3)以上)で昇任管理されることになりますよ。
CGS1次試験の合格率は概ね10%(競争率10倍)程度と言われています。A幹部の同期は400名、4回までは受験できますので受験者総数はざっと1600名、1次試験には160名(最終合格者80名の2倍)が合格しますので…こんな感じになると思います。
1次試験は陸上幹部自衛官のバイブルである野外令から始まり各職種教範、服務関係規則類等広範な試験範囲から出題され、中、小論文形式で記述解答するいわば知識を問われる試験ですので、10倍の競争率を突破するまではとにかくひたすら個人で頑張る…勉強するしかないというわけです。
2次試験は、陸上幹部自衛官のお家芸「図上戦術」と「職務」に関するそれぞれ50分程度の面接諮問形式です。こちらは知識はさることながら人間性を含む資質が評価されますので、CGSを卒業した所属部隊の上司、先輩による組織的な指導、アドバイスなくしては合格はおぼつかないわけです…2次試験の合格は組織の責任と言われている所以ですね。
当時、CGS1次を突破するには1000時間の勉強が必要といわれていました。私の場合は、4回の受験チャンスのうち3回目に1次合格、幸運にもその回に2次も合格しました。
1回目は、幹部上級課程(AOC)卒業と同時に部隊の第3科幕僚勤務となり、2回目も同様の勤務環境の中で主体的に勉強時間を確保できずに不合格となりました…何となく業務多忙を言い訳にしていますが結局のところさばけないところと意志薄弱が原因と自覚しております…。
3回目は職種学校へ転属となり教官職となったことを機に年間計画を作成し、朝活(4時起き)を取り入れ毎日3時間程度、試験直前の年末年始の追い込みを含め900時間余りの試験勉強を実践し幸運にも合格をすることができました…そもそも、頭の出来具合、勤務環境にもよりますが、気持ちを切らさず計画的に1000時間勉強を実践すれば1次試験を突破できること間違いありません!…このさばけない私が実証済みですので…。
2次試験は、これまで指導を受けてきた波長の合う上司、先輩を信じ、これまで頑張ってきた自らを信じ、最もアピールしたいキャラを心に決めて臨めばきっと上手く行くはずです。
ちなみに私の最もアピールしたいキャラはといいますと…“謙虚さ”…(笑)
CGS、TACに合格した後は、燃え尽き症候群にならないよう①で確立した幹部自衛官を職業選択した意義、目的の実現のためしっかりと自己管理をすることが大切ですよ!…そしてやはり出世の目安としては、少くともCGS上位50パーセントには入りたいところですね。
中央機関(統幕、陸幕)での勤務は実践評価の場…置かれた職務を全うすること!
CGS、TAC卒業直後は、中隊長職、学校教官職、地方協力本部勤務など比較的部隊等において現場隊員と直接触れ合える職務に多くの人が就きますよ。…CGSで得た成果等を存分に発揮して自信を持って隊務に取り組んでもらいたいと思います。
通常、次のポストは統幕や陸幕と言った中央機関の幕僚として補職されます。…出世を鑑みれば、CGS、TAC卒業者の実践評価の場といえますね。
CGS、TACで上位序列のものはそれなりのポストに配置されますが、それはそれ、配置された部署でしっかりと芽を出せるように激務に屈することなく前向きに取り組むことが大切です。
統幕や陸幕の新任幕僚ですからもちろん部下はいません。ゴミ捨て、お茶出しを含めた庶務的な仕事と合わせ自らには重い仕事が与えられていますので、調整と会議で定時が終わります。
自らの仕事は課外からスタートというのがあたりまえ、通勤時間が勿体無いということで月曜日出勤して金曜日の夜に帰宅するのがあたりまえ…決して前職とのギャップにめげてはいけません。
…自らに与えられた仕事の意義を見つめ直し、支えてくれる家族に感謝しつつくじけずに職務を全うしましょう!
…そんなあなたを上司は、そして周囲の先輩、同僚はきっと評価してくれるはずです!
…ちょうどこの中央機関勤務頃に2佐昇任を迎えますが、やはり出世の目安としては1選抜期に入りたいところですね。
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心身共に健全であること!
なんといっても、出世の大前提は心身ともに健全であることにつきますよね!
中央機関勤務の激務も年数を重ねるごとに時間の使い方がうまくなってくるものです。
短期的には夜活や朝活で駆け足や筋トレを取り入れたり、平日は会えずに支えてくれている家族への土日孝行を意識的に取り入れていくとか…
少し長期的に見ればこの激務の幕僚勤務の後には充実した憧れの指揮官職がまっているとか、あるいは入校がまっているとか…
こうしたナイスな自衛隊の補職サイクルを希望や活力に変えるなどメリハリの利いた生活を意識的に実践し、心身の健全性を保持することが大切です!
…命あっての物種です…心身の健全性あってこその出世ですから…。
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以上 今回は、一般幹部候補生が出世する方法(元自衛官が事例で解説!)でした。それではまた…。