自衛官の階級と職務…部長と班長どっちが偉いの?

      2020/03/20

自衛官の階級と職務(陸上自衛官の幹部任官以降を事例で紹介)

自衛官は基本的に階級に応じてその職務が与えられます。まずは、いかなる階級でどのような職務が与えられるのかご紹介しましょう。

例えば、一般幹部候補生課程を卒業した陸上自衛官の幹部任官以降の階級と職務について一例を挙げるとこんな感じになりますよ。

 

小隊長(3尉〜2尉)⇒連隊本部幕僚(1尉)⇒職種学校教官(1尉)⇒幹部学校学生(1尉〜3佐)

⇒中隊長(3佐)⇒陸幕幕僚班員(3佐〜2佐)⇒方面総監部班長(2佐)

⇒幹部学校学生(1佐(3))⇒方面総監部課長(1佐(3))⇒幹部学校教官(1佐(3))

⇒陸幕幕僚室長(1佐(2))⇒群長(1佐(2))⇒地方協力本部長(1佐(2))

⇒方面総監部部長(1佐(2))⇒幹部学校主任教官(1佐(2))⇒退官(将補)

 

…実はこれ23歳で3尉に任官してから55歳で将補に特別昇任し早期定年退職した30有余年の幹部自衛官としての私の階級と職務なんですよ…(笑)

私の場合、ちょうど15職務でした。ですから1職務あたり概ね2年ということになりますね。

 

 

幹部(3尉)に任官して最初に与えられる職務は小隊長です。約20~30名の小部隊のリーダーとしての知識と経験を積んでいきます。

一回り以上も年上の厳格なベテラン小隊陸曹から入隊して間もない若い陸士らとともに汗をかきながら幹部としての基礎を固める極めて大切な時期ですから、最初に赴任した部隊(原隊)で最も長く(通常は5~6年)勤務することになるわけですよ。

思えば幹部任官から遡ること1年前、久留米の幹部候補生学校に勇躍入校…「二度とくるめ~」と恐れられた厳しい教育訓練をこなし自分史上最も鍛え上げられた肉体をもって原隊に赴任したんです…本当ですよ。あの頃は若かった…(笑)

更には職種学校の幹部初級課程で修得した最新の知識あふれる新進気鋭の小隊長として頑張るぞ…という意識だけは持っていましたね…若かったですから…(笑)

体力と気力が売りの小隊長のはずでしたが、走るスキーに銃剣道や持続走…何をやってもかなわない年配の陸曹には心身ともによく鍛えられました。

自信を持って臨んだ小隊訓練検閲では、独立的に行動する部隊として隣接部隊との調整や想定外の損耗を付与されて状況判断する場面や実故障が重なり小隊長自らの指揮活動を厳しく検され再検閲を辛うじて免れた事等々…。

叱咤激励を受けつつ現実とのギャップに一喜一憂しながら過ごしていた日々でした。今思えばすべてが後々の糧になりましたし非常に懐かしい掛替えのない思い出ですね。

 

こんな小隊長職からスタートした私の15職務ですが、以下のように指揮官幕僚教官学生という4つの職務に区分する事ができます。

 

指揮官職⇒小隊長(3尉〜2尉)、中隊長(3佐)、群長(1佐(2))、地方協力本部長(1佐(2))

幕僚職⇒連隊本部幕僚(1尉)、陸幕幕僚班員(3佐〜2佐)、方面総監部課長(1佐(3))、陸幕幕僚室長(1佐(2))、方面総監部部長(1佐(2))

教官職⇒職種学校教官(1尉)、幹部学校教官(1佐)、幹部学校主任教官(1佐(2))

学生職⇒幹部学校学生(1尉〜3佐)、幹部学校学生(1佐(3))…ですね。

 

指揮官職は、幹部自衛官なら誰もが憧れる花形職務です。階級が上がるほど行使できる権限が広がります。

例えば指揮官が右といえば皆んな右を向くんです。隊員は恐ろしくなるほどに右に向かいます。結果的に間違っていたとしても右に向かうわけです。

指揮官の命令・指示に対する絶対的な服従ですね。それに慣れすぎてしまうと何の疑問を持たずに他人の意見を聞くクセを付けているのではないか…とふと恐い気持ちになったこともありますけどね。

しかし、軍事組織においてこれは悪いことではありません。むしろ、激烈な環境下であっても指揮官は的確な命令・指示を出さなければならないし、部下は指揮官を信頼してこれに従う。こうした組織・部隊こそがいかなる状況下でも任務達成が出来る精強な部隊だからです。

つねに一挙手一投足が注目され、絶大な権限を行使出来る指揮官職は、同時にそれに相当する重い責任を背負う職務です。

私の場合指揮官職は1佐になって2ポストですから、まあ平均的なところだと思います。指揮官職を自衛官人生の約3分の1の期間経験できたことは比較的恵まれていたのかもしれませんね。

世間一般の皆様もよく知っている馴染み深い職務ですし、どの職務が偉いのか容易に理解されていると思います。

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部長と班長どっちが偉いの?

どこの世界でも部長のほうが偉いに決まっているじゃないか!とお叱りを受けそうです。たしかに自衛隊でも班員⇒班長⇒室長⇒課長⇒部長⇒幕僚長と職務上偉くなるのが基本です。

でもですよ…自衛官の場合、階級に応じてその職務が与えられます。と冒頭に述べましたが、例えば私の場合をみてください。

幕僚職⇒連隊本部幕僚(1尉)、陸幕幕僚班員(3佐〜2佐)、方面総監部課長(1佐(3))、陸幕幕僚室長(1佐(2))、方面総監部部長(1佐(2))

幕僚職を5ポスト、足掛け11年あまり務めましたが、課長(1佐(3))⇒室長(1佐(2))⇒部長(1佐(2))…課長の後に室長に就いていますよね!

もちろん、降格しているわけではないですよ(笑)

同じ部長職でも、勤務する部隊等のレベルによって就くべき階級が異なるので、師団司令部の部長のあとに方面総監部の班長や課長に就くことはよくあることなんです。

勤務する部隊等のレベルが同じであれば、部長と班長は部長の方が偉い!

勤務する部隊等のレベルが異なれば、部長よりも班長や課長が偉い場合がありますよってことですね!

陸上自衛隊の最高司令部である陸上幕僚監部では、幕僚長は将で、部長は将補、課長は1佐(1)、室長は1佐(2)、班長は1佐(3)、班員は3佐〜2佐が就きますが、

5つある方面隊の司令部である方面総監部では、幕僚長は将補、部長は1佐(1)〜(2)、課長は1佐(3)、班長は2佐、班員は3佐〜1尉

さらにいえば、各方面隊隷下の師団司令部では、幕僚長は1佐(1)、部長は(1佐(3))〜2佐、班長は3佐…が就くのでこういうことも普通にあるわけです。

陸幕の班長と方面の課長と師団の主要部長同じ階級(1佐(3))が就く職務です。
この辺りは、世間一般の皆様でもご存じない方は多いかもしれませんね。

自衛官の階級と職務(続き)

 

幕僚職は、所属する部隊や機関の指揮官を補佐する職務です。

指揮官の指針に基づき、指揮官の心をわが心とし絶大な信頼関係をもって指揮官の指揮活動が最も効果的になるよう補佐するわけです。

体力的にも精神的にも疲弊することが多い職務ですが、自らの所掌で手掛けた事業が成功裡に終わるなど任務を完遂し、指揮官から評価されたりすると日頃の疲れもパッと飛んでいくこともまぁ、たまにはありますかね…(笑)

私の場合は、5ポスト11年余りですから自衛官人生の3分の1以上、最も長く幕僚職を務めました。キャリアの違いにより変わってきますが、ほぼ大半を幕僚職で務められる方が多いのではないかと思います。

教官職は、各種階級において総合運用職や職種専門職に任ずる指揮官や幕僚として今後を担う幹部を育てる職務です。

一般に幹部上級課程(AOC)、幹部特修課程(FOC)、指揮幕僚課程(CGS)や各種専門職特技課程を履修し、職種上級運用特技、総合運用特技、各種専門特技を保有している者が通常補職されます。私の場合は、3ポストで4年程度務めました。まあ、平均的なところでしょうか。

学生職は、各種階級において総合運用職や職種専門職に任ずる指揮官や幕僚として今後を担う幹部となるために自ら修学する職務です。

給料を戴きながら学べる職務です。一般社会ではOJTが主流なのでしょうけれども、専門性の高い自衛隊ならではの重要かつ不可欠な職務といえると思いますよ。

まぁ、組織のためとはいえ自分のキャリアアップのために勉学に励む事が仕事ですので、他の職務に比し気楽な側面のある職でもあるわけですね…(笑)

私の場合は2ポスト3年ですから平均的なところでした。

以上、自衛官の階級と職務…部長と班長どっちが偉いの?でした。それではまた…。

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