入隊前に読め!自衛隊向きの身体・そうでない身体(元隊員より)

      2020/04/01

年(2020年)に入り全国の有効求人倍率は1月、2月で0.12ポイント下がり1.45倍となりました。

 

2か月で0.1ポイント以上の低下は、2008〜2009のリーマンショック以来のことだそうです。コロナの状況が今後の景気動向を左右するという不透明、不確実な状況が続きそうです…。

 

不透明、不確実で有効求人倍率がこのまま低下し続け、仮に1.0倍を切ってくることになるとこれまで厳しい時代が継続している自衛隊の募集は一転するとも言われています。(元自募集経験者の肌感覚

 

ですから、これからの自衛隊の募集環境は、不透明、不確実…担当者からすれば依然として気の抜けない時期が継続するものと心中お察し申し上げます。

 

そんな不透明、不確実な情勢の中にあって、国家防衛という崇高な使命を有する自衛隊にやり甲斐、生き甲斐などを感じ入隊を目指している皆さんに、元自衛隊員の一人として心から敬意を表します!

 

今回は、是非そんな皆さんに入隊前に読んで頂きたい自衛隊向きの身体・そうでない身体について元隊員よりお話ししたいと思います。

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自衛隊向きの身体・そうでない身体自衛隊の採用にあたり最も重要視されているのは身体検査!?

自衛隊の各募集種目の採用試験は、大きく区分しますと筆記試験、口述試験及び身体検査から構成されています。

 

各募集課目によって異なりますが、通常、1次試験(筆記試験)においては、当該募集課目に必要な素養的「知識」を保持しているかを検し、これをクリアーしたものに対して2次試験(口述試験、身体検査)がおこなわれます。

 

口述試験においては、主として当該募集課目の自衛官として相応しいかという「資質」を検するとともに、身体検査においては「自衛隊向きの身体か、そうでない身体か」を検して合否が判定されるわけですね。

 

さらに、入隊予定の部隊に着隊した日において最終的な身体検査が行われ「自衛隊向きの身体か、そうでない身体か」の判定がなされて入隊の可否が決まることになります。

 

こう見てみますと、自衛隊の採用試験において最も重要視されているのは身体検査だといっても決して過言ではありませんよね。

 

いくら当該募集課目に相応しい「知識」「資質」を保有していたとしても、身体検査で「自衛隊向きの身体である」とお墨付きがもらえないと入隊できないわけですから

 

 

私は、今から約40年前に防大入校という形で自衛隊員になりました。

 

桜満開の横須賀小原台に着校、対番(学生生活の指導に当たってくれる上級生)のYさんに居室に案内されまして、部屋長の四年生Iさん、同室になる予定の同じく着校したばかりのK君、Yo君に先ずはご挨拶。

この人達と生活を共にするんだなぁなどとご挨拶もそこそこにまもなく開始されたのが着校時の身体検査

 

私は、二次試験の身体検査同様視力に不安があったんです。当時の合格基準は、左右それぞれ裸眼0.2以上、矯正は認められていなかったと思います。

極めて微妙な状況は自らが一番承知していましたので、目を細めたり、しばたかせて涙目にしたり挙げ句の果ては検査官の2番(視力検査記号のCの方向を示す番号)ですね!という確認?いや念押し?の言葉を信じて辛うじてクリアー

ホッとしたのを今でも覚えています

 

身体検査を終え居室にもどると、先程挨拶したK君がいない。どうやら聴力に異常が見られるようで再検査中だという…。

結局K君は、着校時身体検査で聴力の異常により不合格となり離校して行ったのです

 

防大の募集要項には以下のようにサラリと記述されています。

着校時に再度身体検査を行いますが、その際、異常のある者は不採用となる場合がありますので健康管理には十分注意してください。

まさにこれは「自衛隊向きの身体・そうでない身体」を判定する身体検査が重要視されている証左ですね。

 

自衛隊向きの身体って一体どんな身体?

陸自においては「陸上自衛官採用実施規則」に身体検査の目的について以下のように定めています。

(身体検査の目的)

陸上自衛官の採用に際して行う身体検査は、陸上自衛隊の任務を基礎とし、その任務遂行に対する身体上の体格等位を考察し、適否を判定して、体力・気力ともに優秀な陸上自衛官を獲得するために行うことを目的とする。

 

ですから、「自衛隊向きの身体」って一体どんな身体?って問われればそれはズバリ!「自衛隊の任務遂行に支障のない身体」であるということなんです。

 

さらに言えば、「自衛隊の任務遂行に支障のない身体」であると判定された人は、その時点ですでに「体力・気力ともに優秀な陸上自衛官」となる素養を認められた人であるということなんですよ!

 

自衛隊の採用時には「身体検査」は必ずありますが、「体力検定」はありません!(…ご承知の通りだと思います。)

 

ですから、自衛隊に興味があるにもかかわらず「俺、体力ないから~自衛隊向きの身体じゃないや」なんて勝手に思い込んでチャンスを逃すのは全くのナンセンスです。

 

身体検査をクリアーさえできれば、貴方はすでに自衛隊向きの身体なんです!

 

体力・気力は入隊後の教育訓練で段階的に向上しますので、恐れるに足りません。カリキュラムに沿ってしっかり取り組んでゆけば、誰もが優秀な陸上自衛官になれるわけです。もちろん程度には差はありますけどね(笑)

 

…何となく、陸上自衛官がグッと身近に感じてきませんか?

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自衛隊に向かない身体って…どんな身体?

自衛隊の身体検査項目は、身体測定(身長、体重、腹囲、BMI指数)、歯科検診、尿検査、肺活量、四肢運動、胸部レントゲン、血液検査、問診(既往歴の確認など)です。

 

自衛隊の身体検査だからといって特段難しいことを検するわけではありませんので、一般の定期健康診断をイメージしてもらって差し支えないと思いますよ。

身体検査は、選考時の身体検査と着隊時の身体検査があります。これは、再確認、ダブルチェックの為です。

通常は選考時の身体検査に合格して着隊するわけですから、着隊時の身体検査はほとんどの場合問題なく合格します。

 

ただ、残念なことに私の同期になったかもしれないK君と同様、着隊時の身体検査で自衛隊に向かない身体として不合格となるケースが毎回後を絶たないのも現実なのです…。

 

 

私が地方協力本部で勤務していた頃、一般曹候補生を受験した某高校のA君が着隊時の身体検査において食物アレルギーが原因で不合格になった事例が発生しました。

 

A君は、早くから自衛隊入隊を熱望しており、家族・親族はもちろん学校側も期待を寄せる素晴らしい人材でしたので、着隊時の不合格の結果に周囲の落胆ぶりも大変大きなものがありました。

 

さすがにこの時は、学校側からも事情説明を求められましたので、担当募集事務所長、担当広報官を同行して直接学校長に説明させて頂きました。

 

主要な疑問点は以下のようなものでした…。

 

身体検査は、選考時も着隊時も同様な内容で行われると伺っているが、選考時の身体検査で合格しているのになぜ着隊時の身体検査で不合格となるのか?

 

着隊時のこの時期になって不合格となるのであれば、選考時に不合格と宣告してもらった方がその他の方向への準備も間に合う。4月になったこの時点での不合格では、一年間を棒に振ってしまうことになってしまう…。

 

ごもっともなことです。ご心痛如何ばかりでしょうか?もし、立場が逆であったならば、私も同様の疑問点を投げかけていただろうと思います。

 

生徒さんの将来にかかわる重要な事柄でしたので、心しておおむね以下のようなことを説明させて頂いたと記憶しています。

 

 一般曹候補生課目の募集要項には、…食物アレルギーは、主な身体検査の合格基準に示す検査項目に直接含まれているものではないが、注釈として「検査項目以外にも、自衛隊の任務を遂行する上で支障をきたす疾患(重篤な症状をきたす可能性の高い食物アレルギーなど)についても不合格となることがあります。」…と記載されていること

 

② A君の場合は、既往症である食物アレルギーの程度が重篤な症状をきたす可能性があるレベルであり自衛隊の任務を遂行する上で支障をきたすと判定したため不合格となったこと また、これを判定官から直接本人に説明した(同行した広報官にも同様の説明をした)こと

 

③ 食物アレルギーは、検査項目に該当しないことから問診の中で確認される事項ですが、選考時には問題となっておらず合格が出され、約5ヶ月後の着隊時に改めて自衛隊の任務遂行に支障がある食物アレルギーであると確認されたこと

 

④ 着隊時と選考時の身体検査は、同様の検査項目で実施されるが約5ヶ月程度の時間経過があり、通常異なる判定官による判定を行い再確認(ダブルチェック)を行なっていること…

 

結果、学校長には納得いただきましたが、自衛隊を熱望する有意な人材に対して、「自衛隊の任務遂行に支障を及ぼす疾患を有するため、貴方は自衛隊に向かない身体なので不合格となりました」…との説明ですから、私自身もなんともやりきれない気持ちで…。

 

食物アレルギーは、80年代から増加していると言われています。最近は特に耳にすることが多くなってきましたね。世の中が極端に綺麗(衛生的)になったことで人の体内に共存していた菌が居なくなって身体のバランスが悪くなったからではないかと私は勝手に理解していますが…(笑)

 

自衛隊の駐屯地や基地、艦艇の中にある隊員食堂では、管理栄養士がカロリーや栄養素や味を考慮して献立を作り、食材の大量購入で一人当たりのコストを抑えながら任務・訓練に耐えられるカロリーと栄養を確保するように日夜調理人が腕を振るっています。

 

厳しい環境の中にあっても自己完結性を持って任務遂行する自衛隊において、食物アレルギーへの個別対応は非効率ですし、任務・訓練に耐えられるカロリーと栄養を確保するように提供された食事で食物アレルギーにより重篤な症状に陥るような状況が生起するとしたならば、これはもう、任務遂行に支障をきたすこと甚大ですよね。…このレベルの食物アレルギーは自衛隊に向かない身体です。

 

身体検査項目は、計数的に合否判定できる項目がその多くを占めますが、計数的に区分しにくい項目ではその症状の程度・状態が自衛隊の任務遂行に支障をきたすか否かが合否判定の基準・・・すなわち、自衛隊に向く身体・そうでない身体の分かれ目になるわけです。

 

…たかが身体検査・されど身体検査なのです…。

 

迷ったときは、まず、その状況が自衛隊の任務遂行に支障をきたすのか否か自ら思いを巡らしてみることです。そして、地方協力本部の担当広報官に質問してください。きっと良い答えをいただけると思いますよ。

 

以上、入隊前に読め!自衛隊向きの身体・そうでない身体(元隊員より)…それではまた。

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